仮に、アメリカ軍が本気で攻撃を仕掛けたら、おそらく30分以内に、北朝鮮の核を含む全軍事施設と、政権中心人物らを完全に破壊・壊滅できるだろう。
そうなってしまったら、北の民衆は38度線を越えて、韓国へ一斉になだれ込むはずだ。圧倒的な数の「脱北者」を、韓国は政治的あるいは軍事的にも制止することもできまい。仮に、1000万人単位の人間が韓国社会へ怒濤のごとくなだれこめば、韓国も治安その他が事実上、機能しなくなるだろう。国家としての統制が効かない無法状態となるに違いない。南北統一と言いながらも、こうしたかたちでの統一の大混乱は、東ドイツ崩壊の比ではない。
現時点でも格差社会と経済の停滞で疲弊している韓国。さらに、米ロ・米中の間のクッションの役割も果たしている北朝鮮が消滅すれば、真正面に対峙する構造となって、軍事バランスが違う意味で緊迫する。金総書記はこのあたりの「恐怖のバランス」を考えつつ、一見暴走しているかのようで、生きながらえているのだろうか。一番の側近たちが金を暗殺する可能性も少なくないだろう。