Quantcast
Channel: 神戸・元町からの気まぐれ日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1813

うどん 製麺機

$
0
0
“讃岐うどんの近代史”は「足踏み禁止」から始まりました。
昭和40年(1965年)本場讃岐に大事件が発生!
永い歴史を伝承されてきた讃岐うどんの名声も、今でこそ当然のように思われていますが、この繁栄の陰にはとんでもない事が起り、逆にその事が現在の大発展に繋がったという『讃岐うどんの近代史』をご紹介します。
http://www.menki.co.jp/kindaishi/ashifumi1.jpghttp://www.menki.co.jp/kindaishi/ashifumi2.jpg●昭和43年頃の「足踏み風景」
(25kgの小麦粉を担ぎ足踏みしている)
当時は、大量にそして短時間に製麺する為自分の体重を重くして足踏みする光景が多くみられた。

また当時は家内労働が主であり、女性や子供はリュックサックに本等を入れ自重を重くして作業をしていた。非常に重労働でした。

今から45年前(昭和40年)、香川県に於いて讃岐うどん製法の最も重要とされる「足踏み」を禁止するという大問題が発生しました。
何故、大切な足踏み作業が禁止されたのかと言うと、当時県外より多くの投書が寄せられ、その足踏み作業の『不衛生さ』が指摘されたのです。

県としては将来の讃岐うどんの発展の為にはどうしても必要な処置との事で昭和43年1月の県議会で『足踏み禁止』が決議されました。
当時、香川県と高松保健所から弊社(さぬき麺機㈱)に依頼され開発した「足踏み代用機」は永い伝統と歴史を持つ「讃岐うどん製法を機械化」したもので、地元の麺業者からはその“機械化に大反発”を受けましたが、“香川県が禁止を強行した事が今の繁栄につながった事実”を是非知って頂きたいと思います。

全ての事業所が不衛生な状況で無かったにしても、確かに大半はその指摘を受けても仕方ない状況であった事
から“足踏み禁止が実現”し、本場讃岐も以後機械化の道を歩んできました。

結論から言いますと、その「足踏み禁止」こそが「手打ち職人代用機」を誕生させ、その優れた性能により、全国に『讃岐うどんの大ブーム』を巻き起こし、『冷凍讃岐うどんの大ヒット』を生む等、讃岐うどんの今日の名声に大きく貢献する事となったのです。そして、その讃岐うどん用製麺機の機械化が進むにつれ、日本の麺業界に最高品質を芽生えさせ『製麺技術の革新』にも大きく貢献してきたのです。
           ●日本の製麺技術では・・・・・ 讃岐うどん(手打ち)製法 = “最高品質”を意味します

http://www.menki.co.jp/kindaishi/ashifumi3.jpghttp://www.menki.co.jp/kindaishi/yajirushi.jpg
 
 
http://www.menki.co.jp/kindaishi/ashifumi5.jpg
古来より伝承の讃岐うどん製法の根幹とも
言われる足踏み作業
このロールの凹凸により、麺生地が揉みほぐされ足踏みに匹敵する
コシと粘りを実現(特許を取得)

今、誰の話にも『足踏み』は、うどんのコシを強くする絶対的なものと言われています。しかし、機械化してもそのコシの強さは変わりませんでした。
何百年も続いた讃岐の製法を機械化すると言う「とんでもない事」が、実際には当初の目的であった『食品衛生』を達成した事より、今で言うと『抜群の省力化』を実現した事の方が“大きなメリット”でした
その省力化の要求は、小麦粉を練る事から麺棒延ばし、包丁切りまでの全ての工程を要求され、さらに全国の製麺業者からは量産化を求められました。

その様な中、大阪万博が開催された1970年(昭和45年)に『讃岐うどんの第一次ブーム』が起りました。
当時は日本の経済が急成長する中『脱サラ・転業ブーム』が起り、独立開業者が続出する時代でもあったのです。
その開業希望者の夢を叶え、素人でも簡単に讃岐うどん専門店経営を可能にしたのが『さぬきの手打ち麺機』でした。

常識的には讃岐うどんとなれば手打ち職人が必要ですが、“全く未経験者でも「本物の讃岐うどん」が提供できる”という、“まさに夢の製麺機の登場”『第二次讃岐うどんブーム(1976年~)』の原動力ともなりました。

http://www.menki.co.jp/kindaishi/ichiban-udon.jpg http://www.menki.co.jp/kindaishi/izutsu-udon.jpg http://www.menki.co.jp/kindaishi/nagata-udon.jpg
≪その頃より、続々開業した本場讃岐の有名店≫
http://www.menki.co.jp/kindaishi/ogou-udon.jpg http://www.menki.co.jp/kindaishi/sanukiichiban-udon.jpg

現在も足踏みは禁止なのかとの質問をよく受けます。
保健所に問い合わせると、45年も昔の事なのでその事実をはっきり説明できる人がいませんが、現在製麺業を始める場合は「製麺機」の使用が義務付けられており、一般のうどん店に対しては明記されていません。そこで、当時を振り返りたいと思います。

『足踏み禁止』が指摘された頃は香川県内に500軒ほどの製麺業者があり、殆どのうどん店はその製麺業者から配達されたうどんを客に提供していたのです。

従って足踏み禁止の対象者は約500軒の製麺業者であったので、全ての讃岐うどん製造者を対象とされた事となり、今に至ってもその禁止については全てに適用されると言う人も多いのです。
現在ではその製麺業者は70~80軒ほどに減少し、中には「製麺所タイプのうどん店」として生き残り、繁盛店も多く見受けられます。

http://www.menki.co.jp/kindaishi/ishikawa.jpg http://www.menki.co.jp/kindaishi/syouwa.jpg http://www.menki.co.jp/kindaishi/momijiya.jpg
≪ここ近年開業した全国各地の有名・繁盛店≫
http://www.menki.co.jp/kindaishi/ichiban.jpg http://www.menki.co.jp/kindaishi/tsurutsuru.jpg

日本の外食産業は『讃岐うどんの第一次ブーム』が起った1970年から全国に大発展して行きますが、当時スカイラークやマクドナルド等のファミリーレストランやファーストフードの店などが開業し、日本に洋食の文化を拡大して行きました。
その『第一次讃岐うどんブーム』が起る前の香川県内には、うどんの専門店は殆どありませんでした。

「讃岐には、うどん屋が電信柱の数より沢山ある」と言われた時代、確かに3000軒ほどもあったと言われる讃岐うどん店は、製麺所よりうどん玉を仕入れて客に提供するという『食堂』であったのです。
そこで、店内で麺打ちから包丁切りまでを実演し、茹で上げ直後の最高に美味しいうどんを提供する「専門店経営」は本場の香川県内でも、1970年(昭和45年)の大阪万博以後の事で、まだ40年の歴史しかありません。
今では700~800軒あると言われる本場讃岐のうどん店も、全国にあるうどんそば店もその専門店の歴史は意外と浅いのです。

今では本場讃岐を始め、全国の『手打ちうどん・そば店』の多くに製麺機が使用されています。
“手打ちに対するこだわり”は否定しませんが、「正しい手打ち製法」を学び忠実に工程を守ることで、今では手打ち職人を不要とした繁盛店が続出し、製麺機無くして専門店の開業は出来ないと言っても過言ではない時代となっています。

その様に、讃岐うどんの「足踏み禁止」により誕生した製麺機が全国の手打ちうどん・そば・ラーメン店、そして製麺業界の品質の技術革新や量産化、冷凍讃岐うどんの大ヒットに貢献する等、まさに“日本の麺業界を一新”し、日本全国に最高品質と言われる麺を提供する事となったのです。

いわゆる『讃岐うどんの近代史』は、“日本の麺業界全体の近代史”でもあるのです。

日本古来の手打ち技術を機械化し、機械麺から手打ちへ麺とグルメの時代を築き、日本全国はもちろん世界に日本の製麺設備と製麺技術を広める原動力となったのも
“すべては『足踏み禁止』から始まった“のです。

■ 今 で は 製 麺 機 も こ ん な に 進 化 し ま し た ! ■
http://www.menki.co.jp/kindaishi/M-305-1.jpg   http://www.menki.co.jp/kindaishi/sanuki-auto1.jpg

終わりに
その後全国に何度ものブームを巻き起こした『讃岐うどんの美味しさと名声』は海外にまで広がり、現在(2010年)では世界に通用する強力ブランドに成長しました。
しかし残念な事に、この本場讃岐のみならず全国でそのブランド名を欲しいままに利用し、粗悪でとんでもない『讃岐うどん』が続出しています。
(土産物・贈答物も含みます)

私は、この本場讃岐に於いて「近代史の史実」を知る人が殆どいなくなり、「讃岐うどんの表示問題」も正しく理解している人が少ない事が今後のさらなる発展を妨げる事になるのではないかと非常に懸念しています。

近年の大ブームをもたらせた書籍「恐るべき讃岐うどん」での紹介、「はなまるうどんの100円うどん」の大ヒットなど、また本場讃岐のプライドと責任感を背負い、頑張る地元の多くの麺事業者の方々の努力により『讃岐うどん』はゆるぎない地位を築けたと思います。

現在、讃岐うどんのブランド力の恩恵を受けている人は沢山いますが、数百年伝承された伝統の技術、そして大発展の原動力となった『讃岐うどんの近代史の史実』を知って頂き、一歩一歩積み重ねてきた信用と「正しい讃岐うどん製法」を守り、本場の苦労とまじめに取り組んでいる人達の努力を真剣にとらえて頂ければ幸いです。
ご一読頂けた皆様のご繁栄とご発展を心よりご祈念申し上げます。
イメージ 1

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1813

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>