フランスの地方選挙で、極右政党が大躍進した。移民排斥を掲げている。直接的にはパリでのテロ事件がきっかけであろうが、水面下に潜んでいた反イスラムの本性が一挙に露呈したわけだろう。移民の子・ジタンやアンリがいなかったら、FIFAワールドカップもとれなかったのに。
アメリカでは、次期大統領候補が「イスラム教徒の入国を禁止せよ」と声高に叫び、一定の支持を受けている。ここでも、テロの直後に銃器の売り上げが3割も増えたそうだ。オバマは銃器規制を訴えているが、全く賛同を得ていない。
さて、日本ではどうか。ヘイトスピーチを法規制するようになり、またJリーグのアフリカ系選手に対する差別的書き込みが表面的には強く非難された。日本は、民族排外主義に断固たる姿勢を貫いているのか。反差別を国是としているのか。そんなことは全くない。天皇の赤子=日本人しか本当の意味での人権も全く保証されていないのだ。日本人でもあっても部落差別や障害者への差別、つまり社会的弱者へ、不満を転化して得られる自己の優位性だけで生きている下劣な輩がいかに多いことか。
人は自己を犠牲にしてまで、他者を救おうとする崇高さも持ち合わせているが、信仰する宗教の違いだけで、生きる権利まで否定する残酷さを併せ持っている。1930年代の雰囲気に似てきたようだ。ファシズム国家を倒したのは、民主主義の思想ではない。軍事力の差だけだ。