親しい外国人労働者ふたりを紹介しよう。
まずは中国人のSさん、50歳ぐらいの女性だ。14年前に広州から来日し、配偶者と20歳の娘さんがいて、大阪の十三に住んでいる。彼女の労働時間は相当に過酷だ。毎朝9時から梅田の中華レストラン、そのまま午後3時過ぎに、神戸へ阪急で移動する。午後4時30分から11時過ぎまで飲食店、帰宅するのは日が替わるころだ。これを水曜日を除いて毎日繰り返している。今春、専門学校を卒業した娘さんが働き始めたので、少しは楽になったようだ。
ベトナム人留学生のYさん、25歳。私の近所の大学に「在学」している。大学に入る前は、日本語学校に通っていたようだ。彼女は大学に近い安アパートにルームシェアして暮らしている。彼女の朝は早い。午前6時から9時までコンビニで働き、急いで通学する。大学を終えると、午後4時から10時過ぎまでスーパーマーケットのレジ係。土日はフルに働くようだ。留学生ビザは、仕組みとして就労は週28時間の制限があるものの、だれも守っていない。来日する際のブローカーへの借入金の返済 + 大学の学費 + 生活費を賄うのに精一杯だ。
こうした実態を無視あるいは知らないふりをして、難民入管法の改定が法務省により進められている。
上に挙げた二人は、労働基準法の定める労働時間の要件を確実に超えているが、だれも問題としない。なにが「高度な技能実習」だ。安い労働力の使い捨てだ。